6.ハイブリッド設計:仲俊治・建築設計モノブモン

坪井)今までのは実現した案ですが、次に紹介するのは、実現しなかったボツ案です。ボツにはなりましたが、面白い提案ができたんじゃないかと思ったので紹介します。

photo : (c) :仲俊治・建築設計モノブモン


坪井)横浜国立大学の学内関係者限定コンペというのがあって、横浜国立大学の正門前に国道にまたがる橋があります。それを創立60周年記念に合わせて耐震改修するに合わせて橋の上にもデザインを施したものを、という要望でコンペをやりました。

この案は仲俊治さんという方と一等になったのですが、田井幹夫さんと同時一等になってしまって、結果的に二人でもう一度別案を考えなさい、ということで葬り去られた案です。
審査員は北山先生と飯田先生と学長さん、施設部の方等、学内の方々です。


photo : (c) :仲俊治・建築設計モノブモン

聴講者)その新しい案というのは、前のものと全然違うものになってしまったんですか?

坪井)田井さんの案と僕らの案が同票で一位になってしまって、普通だと決戦投票をすると思うんですが、学長さんの一声で一緒にやっちゃえばいいじゃない、となりました。

ヨコヲノ森)構造設計者はどうなるんですか?

坪井)田井さんの方は横国大の膜構造の川端先生と同級生で相談されていたのですが、構造設計は僕がやることになりました。田井さんと仲さんと3人で進めています。

この案自体は、とても気に入っている案です。まず仲さんから、緑を空中に飛ばしたいと要望がありました。水筒みたいなものに土と水をつめて、そこから蔓を伸ばせないかと。そのためのフレームを考えて欲しい、ということで話がきました。



photo : (c) 坪井宏嗣構造設計事務所


坪井)この水筒を利用して何か新しいことができないかと思って、このスリット部分を圧縮材にして、張弦梁のようにできないか、と考えました。そのままだと普通の張弦梁にしかならないので、ちょっと変わった張弦梁を考えました。

メインのフレームを短冊上に並べてゆく。フレームだけだとパタッと横に倒れてしまうので、それらをつなぐ様にブレースをいれる。先程の水筒を介して、張弦を構成しています。これがダーッと連なります。結構なスパンですけど、張弦梁なのでパイプもメンバーを絞れるということです。

最終的には、先程の水筒のまわりで、蝶番みたいなものがくるくるまわっている様になっています。これは現場で建て方するのにブレースの部分が回転するほうが精度調整しやすいのでは、という考えです。コンペの時にそこまで考えたのですが、この案は結局ボツ。

今は広場計画になっていて、そこに膜と植栽をテーマとしたオブジェを計画しています。
2010年10月に竣工予定です。


<< Back to PAGE



<< Back to PAGE