7.HPシェル(設計:増田信吾+大坪克亘+平山裕章/Responsive Environment(日高仁+西澤高男))


坪井)先程の塀をやった増田君と大坪君のたたずむ壁というプロジェクトと、先日の群馬の共愛学園のコンペ案なんですけれど、共通点があって二つともHPシェルなんですね。


たたずむ壁(設計:増田信吾+大坪克亘+平山裕章 /photo : (c) 増田信吾+大坪克亘+平山裕章)

坪井)増田君と大坪君の案は、彼らはすごいドローイングがきれいなんですけれど、根室の海のすぐそばに鉄板のオブジェをつくりたいと。ただのオブジェじゃなくて、この二枚の間に植物を植えたいと。植物の聖域をオブジェの間につくり、海のそばなのでコールテン鋼板で曲面をつくりたいと。


photo : (c) 坪井宏嗣構造設計事務所


坪井)この鉄板を何mmにできるかという検討過程で座屈解析という解析をやってみたんです。当初あまり意識してなかったんですが、座屈解析をすると、座屈の仕方が途中で一回切り替わる感じになると分かりました。HPシェルは座屈に強いという話は知っていたんですけれど、よく分かっていなかった。しかし座屈解析をしてみて、要はスパンが半分になる効果があると分かった。それを今色々応用しようとしています。


群馬の共愛学園コンペ案(設計 /photo : (c) Responsive Environment(日高仁+西澤高男))

坪井)これは東大の柏キャンパスの日高さんと、東北芸工大の西澤さん。西澤さんはビルディングランドスケープというユニットに参加しています。二人はインスタレーションをやっているResponsive Environment(RE)という団体を一緒にやっています。
ねじった柱を構造的に効かせられないか、という話が持ち込まれました。天井高の高いところにねじり柱をいっぱい立ててみたり、座屈の検討をしてみました。


photo : (c) 坪井宏嗣構造設計事務所


これはフラットな板の場合の座屈。このような形状で座屈してしまう。ねじると、やっぱり中間に支点のあるこういう波形になる。この時座屈荷重はフラットの場合の5倍になりました。


photo : (c) 坪井宏嗣構造設計事務所


坪井) これは45度ねじったものと60度ねじったものとで比較検討したのですが、その差はほとんどありませんでした。という事は、ちょっとでもねじれていると座屈に強くなる効果がある、ということです。
HPシェルは意匠上の形態として使われることが多いのだけれど、構造的に合理的な理由で使われている例はあまりみたことがないので、そういうのをやってみたいな、と思っています。


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